風の悪戯

台風2号のせいで　この地方も強い雨と風だった

雨がやんだ後も　強風が吹き荒れて

軒下についていた蜂の巣が

耐えきれずに　落ちていた


蜂たちが巣立った後の　空き家になった構造物だが

その見事な造形美を　芝の中に落としている

草むらの住人

草むらに腰を落として　一つ一つを見てみると

いろんな奴らがそこに居る

つっけんどうで　トゲトゲしい奴

ストレートで真っすぐな奴

人懐っこく　すぐにズボンの裾にくっついてくる奴

恥ずかしそうに　下を向いてるやつ

可愛い花をつけて　媚を売ってくる奴

抜こうとすると　指を切りつけてくる　凶器を持った奴



そんな中に　見慣れない実をつけた奴がいた

ちょっと見ると　何かの虫のよう・・・

気がつけば　結構仲間がたくさんいる

あまり気分のいい形じゃないけど

彼らなりの主張を持って　そこに存在している



一言で「くさむら」って言うけど

そこにはいろいろな種族が集まって

己の種の保存のため　必死に頭を使っているのだ

そんな奴らが集まって　一つの「むら」を形成している

クローバー

ブランコのある公園を歩いていたら

幼い女の子が　母親と一緒にクローバーの花を摘んでいた

ブランコの周りには　びっしりとクローバーのじゅうたん


白く可愛い花をいっぱいに咲かせている

母親は何かを一生懸命探している

なかなか見つからないようだ

女の子はブランコにも　それを探すことにも飽きてしまって

白い花束を作ることに夢中


お母さん、四つ葉のクローバーは見つかりましたか？

のどかな公園の風景である

この先行き止まりです

だいぶ前からやっていた堤防工事

久しぶりにちょっと足を延ばしてみた

すっかりきれいに立派な道路ができていた

でも、この先行き止まりです


歩道もあって車も十分通れる道だけど

この先行き止まりです

この看板のあるところが行き止まりです

向こうはその前にできた道と続いているはずです

でも、行き止まりです


行き止まりまで行ってみた

道をふさぐ看板があってこちらに入ってこられません

車も通らないゆったりとした道を

鳩がのんびり歩いていました

この道は行き止まりです

風と花と

展望台のある小高い丘で

風と花がおしゃべりしている

時にやさしく　時にふざけて


風がふざけて強く息を吹きかけると

花たちはいっせいに　同じ方向へ体を倒す

そして　風の息が切れると

みんな同じように立ち上がる


そんなことを繰り返しながら

風と花が小さく体を揺すって笑いあっている


穏やかな公園の昼下がりである

トリミング

いつもは気がつかずに通り過ぎていた

川べりに大きな木があって

時々、細かな花が咲いてるなくらいにしか興味がなかった


今日はちょっと視線を変えて

その木の根元をのぞいてみた

水面すれすれに枯れ枝が横たわっている

なんてことはない少し薄汚れた風景だが

両手の親指と人差し指で画角を作ってトリミングしてみると

枯れ枝と新緑と水面が見事なコントラストで

命を吹き返した


ぼんやり歩いてないで

見慣れた風景も自分なりに切り取ってみると

お気に入りのアートがあるかもしれないのだ

もみじトンボ

公園の木々の緑も日増しに鮮やかさをまし

気分爽やかに散歩道を歩いた

木立の間で「みょうが」の葉が伸び始め

いつもより周囲に気を配って歩いてみた



もみじの若葉がとてもきれいだ

気をつけて見てみると

生まれたばかりの赤とんぼがいっぱいついている

赤ちゃんと言うにふさわしく

きれいなピンク色で産声を上げている

まだまだ旅立ちの時は先のようだ・・・

雨上がりの宝石

長く続いた雨がやっと上がり

うっすらと空が明るくなった

今まで気がつかなかったけど

去年咲いてた植木鉢の片隅に

今年も１輪だけ白い花が咲いていた

いかにも自分の存在をアピールするかのように

キラキラ光る水滴の宝石をいっぱい身に纏い

ほら、見てよ！

僕は今年もこんなにきれいに咲いてるんだよといわんばかりに

誇らしげに・・・・・

名も知らぬ草花

家の前の石ころだらけの空き地に

薄紫のか細い小さな草花が一面に咲いている

風にゆらゆら揺れながら

頼りなさげに、それでも精一杯咲いている

うっかりすると見過ごしてしまいそうな

存在を主張しないひそやかさで咲いている


もちろん名前なんて知らない

近寄ってアップで覗いてみると

小さなランの花のよう


君たちはこんなに近寄って見られたことがあるだろうか

自分の周りにもまだこんな自然が息を潜めていた

満天星（ドウダンツツジ）

今年も庭に満天星が咲きました。

スズランのような釣り鐘状の花がまるでシャンデリアのように

いっぱい、いっぱい・・・・

殺風景だった片隅に白雪姫が降り立ったようです



今は白と緑の清涼感も

秋になるともみじに負けない真っ赤な紅葉を見せてくれます。

我が家の季節の飛脚人です。